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トランスレーショナル・リサーチ

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トランスレーショナル・リサーチの定義

我々外科医が受診される方へを行う最大の目的は、常に患者様の診断や治療、予防に、受診される方への成果を直接役立てて、その根治に寄与することにあります。その点で臨床と受診される方へのどちらも行うことのできる大学という環境にあっては、臨床に即した高度なトランスレーショナルリサーチを展開できるものと考えています。

血清を用いた癌の早期診断

 外科医として癌の治療に携わる中で明らかなことは、癌が根治できるかどうかは手術時の癌の進行度に左右されるということであり、外科手術の進歩だけでは、今後著明に患者様の生存率が上がることはないと考えられます。

 現在、癌を診断するためには、例えば大腸癌の場合、大腸内視鏡もしくは注腸造影検査を必要としますが、被検者の身体的・経済的負担が大きく、スクリーニングのための検査としては用いることができません。便潜血検査はスクリーニングとしては有用でありますが、大腸癌に特異的とはいえず、偽陽性の結果も多いのが実情です。よって被検者の負担が少なく、それでいて癌特異的で感度の高い癌診断のための検査が必要とされています。血清を用いた癌の検査は被検者の負担の少ない良い方法であり、現在までのところCEAなどの腫瘍マーカーを調べることが臨床の場で行われていますが、稀な症例を除けば高度進行癌でCEAの上昇がみられるのみで早期診断の役に立つとは考えられません。ゆえに我々はこれらの欠点を補う方法として、被検者の血液を用いた分子生物学的手法による癌の早期診断について研究を進めています。癌患者様の血清中に癌特異的なDNAの流れている方がみえることは既に証明されており、これを高感度でしかも特異性の高い分子生物学的手法を用いることでそのDNAを同定します。つまり血液検査をすることのみで癌患者様を早期発見します。

 現時点において、癌患者様の血清中に流れている癌特異的なDNAを検出できることは証明しました。ゆえに今後は実用レベルに高めることが次の課題と考えています。

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参考文献
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Hibi K, Taguchi M, Nakayama H, Takase T, Kasai Y, Ito K, Akiyama S, Nakao A. Molecular detection of p16 promoter methylation in the serum of patients with esophageal squamous cell carcinoma. Clin. Cancer Res. 7: 3135-3138, 2001.

Dong SM, Traverso G, Johnson C, Geng L, Favis R, Boynton K, Hibi K, Goodman SN, D'Allessio M, Paty P, Hamilton SR, Sidransky D, Barany F, Levin B, Shuber A, Kinzler KW, Vogelstein B, Jen J. Detecting colorectal cancer in stool with the use of multiple genetic targets. J. Natl. Cancer Inst. 93: 858-865, 2001.

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